製品を欧州で販売しない場合でも、RoHS対応部品やRoHS準拠は必要か?

この質問に対する簡単な答えは、御社の製品や部品が欧州で 販売されない のであれば、RoHS指令は御社に 適用されない可能性がある ということです。しかし、少しお待ちください。いつものことですが、詳しい答えはそう単純ではありません。以下で説明いたします。

まず、RoHSとは何か?

RoHS(Restriction of Hazardous Substances:特定有害物質使用制限指令)とは、欧州連合(EU)の指令 2002/95/EC であり、2003年に採択され、2006年に施行され、その後何度か改正・拡大されてきました。これは、ケーブルや予備部品を含め、EUで販売される電気・電子機器における特定有害物質の使用を効果的に制限するものです。

御社が該当する製品、部品、またはサブアセンブリをEU諸国に直接販売・流通させている場合、あるいは、御社の部品を使用した製品をEU諸国に販売する再販業者、販売代理店、システムインテグレーターに供給している場合は、制限対象物質のいずれかを使用しているかどうかに注意する必要があります。

RoHS指令が掲げる目標は、「増加する電気・電子廃棄物の利用、収集、処理、廃棄の過程で有害物質の使用によって生じる潜在的な環境・健康リスクを低減すること」です。

RoHS指令により、EU域内で該当するすべての製品は、EUのいずれかの国で販売されるためにRoHS適合性を満たさなければなりません。同指令によって禁止されている物質は次のとおりです。

  • 鉛
  • 水銀
  • カドミウム
  • 六価クロム
  • ポリ臭化ビフェニル(PBB)
  • ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) 
  • フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
  • フタル酸ブチルベンジル(BBP)
  • フタル酸ジブチル(DBP)
  • フタル酸ジイソブチル(DIBP)

これらの物質のいずれかを含む製品には、基本的にあらゆる電気・電子機器が含まれる可能性があり、例えば(これらに限定されませんが):家電製品、コンピューターおよび通信機器、照明、民生用電子機器、電気・電子工具、玩具、医療機器、産業用モニタリング・制御製品などが挙げられます。RoHS要件の対象外となる特定の製品や用途もありますが、その数は多くありません。

さらに、現在この禁止化学物質リストに追加が検討されている物質が7つあることにもご留意ください。現時点ではRoHSリストに含まれていませんが、これらの物質には以下が含まれます。 

  • ベリリウム 
  • コバルト(二塩化物および硫酸塩) 
  • 三酸化二アンチモン 
  • リン化インジウム 
  • 中鎖塩素化パラフィン(MCCP) 
  • ニッケル(硫酸塩およびスルファミン酸塩) 
  • テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A)

RoHSに適合するにはどうすればよいか?

システムまたは部品の製造業者・販売業者であり、これまで述べた方法でEUに販売したい場合、御社の製品がこれらの物質を一切含まないこと、あるいは含む場合でも指令で定められた個別の上限値を超えていないことを評価・確認する必要があります。生産管理について自己認証を行い、適合性を証明するために適合宣言書(Declaration of Conformity)も作成する必要があります。 

また、対象製品のサプライチェーンにある各社も規制に準拠していることを確認する必要があります。これには、適合宣言や独立系試験機関による認証が必要となる場合があります。 

各EU加盟国はRoHS指令を指針として、それぞれ独自の施行・実施方針を定めていますが、各EU加盟国の当局が、製品のRoHS適合性を確認するために無作為の市場調査を実施する場合があることにもご留意ください。適合していない場合、要件を満たすためのデューデリジェンスの証明を求められることがあります。

これは製品のCEマーキングにどう影響するか?

CE(Conformite Europeenne)製品マーキングは、製造業者がEUの安全、健康、環境保護に関する要件を満たしていると自己評価したことを示す、もう一つの指標です。CEマークを使用するためには、製造業者は関連するすべてのEU要件を網羅した自己適合性評価を完了し、適合性を裏付ける技術文書を整備し、EU適合宣言書を作成し、製品にCEマークを表示する必要があります。これらの文書は、要求に応じてEU加盟国の各国当局に提出できるようにしておく必要があります。

CEマークは、EUで販売される特定の(すべてではない)製品に必要です。RoHS適合性は、製品へのCEマーキングの前提条件となります。したがって、すべての電気・電子製品の製造業者は、CEマークを製品に付与する前にRoHSに適合していなければなりません。RoHS適合製品のマーキングはCEマークです。 

RoHS指令はEU域内のみに適用されるのか?

ここが製造業者にとって少し厄介な点です。該当するすべての電気・電子製品は、EUのいずれかの国で販売されるためにRoHS適合性を満たさなければなりません。しかし、米国のいくつかの州では、RoHS指令に基づく独自の規制を導入しており、現在、RoHSが対象とする規制物質の一部リストを制限しています。 

これらの州には、カリフォルニア州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、イリノイ州、インディアナ州、ミネソタ州、ロードアイランド州、ウィスコンシン州が含まれます。例えば、カリフォルニア州では、対象となる電気・電子機器が州内で販売されるためには、重金属に関するRoHS制限を満たす必要があります。

さらに、米国国立標準技術研究所(NIST)によると、RoHS指令に基づく大きく異なるガイドラインが、以下を含む様々な国でも導入されています。

  • 中国
  • 日本
  • 台湾
  • 韓国
  • ノルウェー
  • ロシア
  • ベラルーシ
  • インド
  • ウクライナ
  • シンガポール
  • アラブ首長国連邦
  • トルコ
  • カザフスタン
  • キルギス
  • サウジアラビア

製品規制、施行、罰則、除外の程度は国によって大きく異なる場合があります。しかし、御社の製品がEUでRoHSに適合しているのであれば、このリストにある他の多くの国の要件も既にほぼ満たしていると言って差し支えないでしょう。認可された部品販売代理店のエンジニアリング専門家と緊密に連携することで、このプロセスを進める上での助けになります。   

まとめ

エンジニアや購買担当者として、製品を市場に投入するために存在する様々な規制、義務的または任意の要件、規格・仕様について理解し、対応する必要があります。世界規模でのマーケティング活動は、現代のガイドラインを満たす部品、製造プロセス、サプライチェーン組織を賢く活用することへの要求をさらに高めるだけです。RoHS指令は、EUのような特定の経済圏を対象に策定された規制の枠組みが、同じ目的を達成するために世界中で活用され得ることを示す好例です。

では、EUに販売しない場合でも、RoHS適合は良い考えと言えるでしょうか?この問いに対する安全な答えは「はい」であると言えそうです。

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